この街の名前を聞いて、この駅の南側にはどんなセンターが建っているんだろう、と思ったのは僕だけではないはずだ。仕事仲間が長くこの場所に住んでいたため何度かここを訪れたが想像の5倍はいい街だった。
センター北——ひとことで言えば、子育て世帯向けに磨き込まれた、計画都市だ。
横浜のニュータウンとして開発されたこの地域の中央に位置するエリアのため、センターという名前が付いたと知って、未知の建造物がないことにがっかりはしたものの、横浜のハズレの田舎地域となめていた僕は完全に度肝を抜かれた。
駅前はモザイクモール港北、ノースポート・モール、あいたいといった大型商業施設が並び、歩道は広く、街路は整理され、ベビーカーでも歩きやすかった。雑多さはほとんどない。生活の便利さを優先して街を設計したことが、そのまま空気に出ている。
一方で、面白みや猥雑さを期待して住む街ではない。居酒屋街は弱く、家賃は安くない。センター北は「きれいで便利な郊外」を求める人には強いが、「駅前で遊び倒したい人」や「とにかく家賃を削りたい人」には合わない。そこははっきりしている。
こんな人に向いている/向いていない
向いている人
- 子どもを連れて駅前で買い物を完結させたい人
- 街の清潔感と歩きやすさを重視する人
- 車も電車も両方使う生活をしたい人
- 横浜方面と日吉・東横線方面の両方に出やすい場所を探している人
- 騒がしい繁華街より、管理された街のほうが落ち着く人
向いていない人
- 駅前で安く飲み歩きたい人
- 単身で家賃を抑えたい人
- 個人商店街や古い街並みの雑多さに魅力を感じる人
- 深夜まで人の動きがある都心寄りの街を求める人
センター北は、生活の摩擦を減らすことに全振りした街だった。言い換えると、便利さの代わりに、街の癖や遊びは薄い。この割り切りが好きならかなり強い。
数字で見るセンター北
| 指標 | センター北のデータ | 参考 |
|---|---|---|
| 駅徒歩圏人口 | 17,166人 | 中川中央一丁目・牛久保東1〜3・牛久保西1〜4・大棚西・あゆみが丘の合計 |
| 25〜39歳割合 | 3,088人(18.0%) | 都筑区 34,859人(16.2%) |
| 1日あたり乗車人員 | 36,901人 | ブルーライン19,260人 + グリーンライン17,641人(2024年度) |
| 家賃相場 | ワンルーム〜1DK 9.23万円 | センター南 8.69万円 / 中川 10.37万円 |
| 刑法犯発生率 | 約3.8件/千人 | 2024年犯罪件数824件 ÷ 2025年3月末人口214,571人 |
年代構成を細かく見ると、センター北徒歩圏は都筑区平均よりも25〜39歳と55〜64歳が厚い。若い子育て層だけの街ではなく、持ち家で長く住む層も目立つ。
| 年代 | センター北徒歩圏 | 都筑区 |
|---|---|---|
| 0〜14歳 | 2,326人(13.6%) | 28,845人(13.4%) |
| 15〜24歳 | 1,964人(11.4%) | 24,175人(11.3%) |
| 25〜39歳 | 3,088人(18.0%) | 34,859人(16.2%) |
| 40〜54歳 | 4,057人(23.6%) | 50,811人(23.7%) |
| 55〜64歳 | 3,052人(17.8%) | 33,981人(15.8%) |
| 65〜74歳 | 1,174人(6.8%) | 18,700人(8.7%) |
| 75歳以上 | 1,505人(8.8%) | 23,200人(10.8%) |
この数字が示しているのは、センター北が「若い独身の流入駅」ではなく、家族単位で腰を据えて住む街だということだ。駅前があれだけ大きく開けているのに、年齢構成はかなり落ち着いている。
僕がこの街を訪れた時はいつも休日だったが、駅前でベビーカーを押す姿が多く目に止まった。
家賃は単身向けで9万円台、ファミリー向けは20万円前後が見えてくる。きれいで便利な郊外としてのブランドが、そのまま賃料に乗っている。
仕事仲間が住む賃貸は2Kで9万くらいだった気がするので少し駅を離れればリーズナブルな物件も出てきそうだ。
家賃相場について、自分のこだわりの条件で探した場合には値段が上下するため、あくまでも偏差値的な見方をするのがおすすめだ
出典: 横浜市 令和7年3月末 町丁別年齢別人口(都筑区) / 都筑区統計要覧 生活と環境(市営地下鉄) / LIFULL HOME'S センター北駅 家賃相場 / 都筑区統計要覧 生活と環境(警察)
注意: 駅徒歩圏人口は、中川中央一丁目・牛久保東1〜3・牛久保西1〜4・大棚西・あゆみが丘を集計した。センター北駅の生活圏を意識した独自集計であり、行政上の正式な「駅勢圏」ではない。
交通・アクセス
鉄道
| 路線 | 主な行先 | 所要時間目安 |
|---|---|---|
| 横浜市営地下鉄ブルーライン | 新横浜 | 約11分 |
| 横浜市営地下鉄ブルーライン | 横浜 | 約23分 |
| 横浜市営地下鉄グリーンライン | 日吉 | 約11分 |
| グリーンライン + 東横線系統 | 渋谷 | 約39分 |
| ブルーライン + JR等 | 東京 | 約51分 |
センター北の交通は、横浜市営地下鉄2路線を両方使えることがすべてだ。新横浜まで11分、横浜まで23分、日吉まで11分。この3方向に強いのはかなり大きい。新幹線アクセスも、東横線接続も、横浜中心部への買い物もまとめて拾える。
ただし、JRターミナルのような爆発力はない。新宿・池袋方面は乗り換えが前提で、都心のど真ん中へ一直線という感覚ではなかった。センター北は「横浜北部の優等生」であって、東京西側のハブではない。
見方によっては謎の地下鉄が便利に使えたところで何も嬉しくない人もいるだろう。この地下鉄は財政状況も芳しくなく利用料金も高い。西側の田園都市線、東側の東横線に接続してからが都心方面への移動のスタートだ。その他は横浜駅に直接接続している他、相鉄線中山駅にも接続している。個人的なイメージでは、神奈川に住んでいる人の一定数は横浜という独立国家の中で生活が完結している。東京へのアクセスも無視はしないが、横浜までたどり着けば目的達成、のような動き方をしている人が目についた。一種の地方都市のような存在なのかもしれない。
道路・バス
道路は港北ニュータウンらしく広く、駅前でも歩車分離がかなり徹底されている。下道は走りやすいが、そのぶん週末の商業施設周辺は車が集まりやすい。普段は快適、土日は混む。この落差は覚えておいたほうがいい。
高速は第三京浜の都筑IC、東名の横浜青葉ICが視野に入り、車移動との相性はかなり良い。電車だけでなく車も使う前提なら、センター北の評価は一段上がる。仕事仲間の所管としても、車は手放したくないとのことだった。
出典: NAVITIME センター北→横浜 / NAVITIME センター北→新横浜 / NAVITIME センター北→日吉 / NAVITIME センター北→渋谷 / NAVITIME センター北→東京
買い物・飲食・商業施設
スーパー・日用品
センター北の強みは、駅前の商業集積だけで生活がだいたい終わることだ。港北ニュータウンのタウンセンターとして整備されており、モザイクモール港北、ノースポート・モール、あいたいが駅前に固まっている。服、日用品、家電、子ども向けの買い物まで、わざわざ横浜駅へ出る必要が薄い。
しかも歩行者動線がよくできている。駅前デッキと商業施設がつながり、雨の日でも比較的動きやすい。ベビーカーや子連れでの移動を前提に見ると、この街はかなり優秀だ。
飲食店・外食事情
外食は「弱くはない」が、飲みの街ではまったくない。カフェ、ファミレス、ショッピングセンター内レストランは強い一方で、赤提灯や個人居酒屋をはしごする楽しさは薄い。夜に駅前で一杯やるならセンター南か別駅へ出たほうが早い。
昼の使いやすさは高い。家族で食べる、買い物ついでに済ませる、仕事帰りに無難に入る。この用途には強いが、外食そのものを趣味にする街ではなかった。僕が訪れた時も、駅隣の商業ビルの中のトンカツ屋さんでお昼を食べた後に、同じ建物内でカフェに移動した。街を練り歩く必要がないため、目的を持った時間を過ごすのに最適だった。
商店街・その他
昔ながらの商店街の熱量は弱い。センター北の魅力は個人店の発掘ではなく、計画的に整えられた大型商業の効率にある。そこを魅力と感じるか、味気ないと感じるかで評価は分かれる。
治安・災害リスク
治安データ
| 指標 | 数値 | 比較 |
|---|---|---|
| 刑法犯認知件数(都筑区) | 824件(2024年) | 2023年843件から微減 |
| 刑法犯発生率(都筑区) | 約3.8件/千人 | 2024年犯罪件数824件 ÷ 2025年3月末人口214,571人 |
| 非侵入盗 | 603件(2024年) | 犯罪の大半を占める |
| 粗暴犯計 | 32件(2024年) | 暴力的な犯罪は少ない |
センター北の治安は、かなり良い部類だ。少なくとも「駅前に大型商業施設が密集している街」としては安心感があった。数字を見ても、2024年の都筑区内犯罪824件のうち603件が非侵入盗で、凶悪犯や粗暴犯が街の空気を支配しているわけではない。
夜の駅前も、酔客がたむろする感じは薄い。明るく、人通りも管理されていて、繁華街特有の嫌な圧はほぼなかった。注意点を挙げるなら、自転車や車絡みの軽犯罪を甘く見ないことだ。街が整っているぶん、油断して無施錠で置くと足をすくわれるタイプの街だと思う。
災害リスク
センター北は港北ニュータウンの丘陵地側にあり、海沿いの横浜と比べると高潮リスクは無関係だ。ハザードマップを前提に見る限り、駅前中心部は鶴見川や早渕川の低地ど真ん中ではなく、水害の主戦場ではない。
ただし、内水浸水の可能性までゼロではない。駅近の低層階や地下駐車場付き物件を検討するなら、都筑区版の洪水・内水ハザードマップは事前確認が必要だ。安心感が高い街ほど、最後は物件単位で詰めたほうがいい。
夜に歩いた印象はかなり穏やかだった。駅前なのにギラつきがなく、家族連れの街として空気が揃っていた。ただ、そのぶん独身の夜遊び欲は満たしてくれない。
出典: 都筑区統計要覧 生活と環境(警察) / 横浜市 浸水ハザードマップ(都筑区版) / 横浜市都筑区 土砂災害ハザードマップについて
エリアごとの違い
北側(牛久保・南山田方面)
駅北側は、商業地の輪郭が少し薄れた先に住宅街が広がる。戸建てや低層住宅の比率が上がり、駅前の便利さを使いながら、帰宅後は静かに暮らしたい世帯に向いている。センター北らしい「整った郊外感」は、むしろこちら側のほうが強い。
南側(中川中央・センター南方面)
南側は駅前商業の色が濃い。デッキ、商業施設、マンションが連続し、生活利便性はかなり高い。週末は人も車も増えるが、その代わり徒歩での完結力は高い。センター南まで生活圏を伸ばしやすいのも南側の強みだ。
住むなら、静けさ重視なら北側、便利さ重視なら南側だ。センター北は街全体の完成度が高いぶん、最後はこの2択になる。
筆者の結論:結局センター北はどんな街か
センター北は、ファミリー向け郊外としてかなり完成されている街だ。
港北ニュータウンの核として整備されてきた経緯どおり、駅前の商業、歩行者動線、住宅地の落ち着きがうまく噛み合っていた。駅前は大きいのに下品ではなく、便利なのにせかせかしていない。このバランスは簡単には作れない。
数字を見ても、徒歩圏には約1.7万人が住み、25〜39歳が厚く、地下鉄2路線の1日乗車人員は3.6万人超だ。つまり、単なるベッドタウンではない。人が住み、人が使い、駅前で用事が完結する拠点として成立している。
街の性格もはっきりしている。センター北は、飲み屋街も、サブカルの匂いも、雑多な商店街も薄い。刺激より快適さ、遊びより生活、尖りより管理。そういう価値観に寄っている。だから、子育て世帯や落ち着いた暮らしを求める層には強い一方、独身で街に遊びを求める人には退屈だ。
ちなみに僕の仕事仲間は独身だが、仕事はフルリモートでかなり長くこの街に住んでいる。都心への通勤が頻繁でないなら現役世代も十分楽しく暮らせる街になっていそうだ。
僕の結論はシンプルだ。センター北は、神奈川の田舎と思いきや、完成されたニュータウン、だ。 その違いを理解して選ぶなら満足度は高い。逆に「きれいで便利そう」という表面だけで選ぶと、都心へのアクセスの悪さとそこまで安くない家賃のギャップを感じるだろう。
くろしば個人評価:★★★☆☆
「暮らしの完成度」を買うならかなり有力だ。だが、街の癖や安さを求めるなら、別の駅を探したほうがいい。
よくある質問
Q. センター北の家賃相場はどのくらい?
A. LIFULL HOME'Sでは、ワンルーム〜1DK帯で約9.23万円、2LDKで19.43万円、3LDKで19.83万円が目安だ。横浜市北部の郊外駅としては安くなく、利便性と街の整い方が賃料に反映されている。
Q. センター北の治安は良い?
A. 良い部類だ。都筑区全体では、2024年の犯罪件数824件を2025年3月末人口214,571人で割ると約3.8件/千人になる。犯罪の中心も非侵入盗が多く、駅前に歓楽街がないので夜の空気もかなり穏やかだった。
Q. センター北は一人暮らしに向いている?
A. 「清潔で便利な街に住みたい単身者」には向いているが、「安く住みたい単身者」には向かない。駅前で生活は完結する一方、家賃は高く、夜遊びの選択肢も少ないからだ。
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